×××
「…来そうだな」
誰に言うともない呟き。
一体何が来るのだろうか。
読んでいた小さな本から視線を上げると、ロイは窓辺に腰掛け気怠そうに空を仰ぎ見ている。
「…雨だ。風の匂いでわかる」
少し首を傾げるようにしてベッド際から覗いて見たが、空は所々に雲があるだけで雨が降りそうな気配はなかった。
「…あんたにはわかんねぇか」
無理ねぇよ、と。
ふと視線だけ寄越し、くく、と咽を鳴らしていつもの様に笑って。
「この国じゃ滅多に降らねぇけど。……だからかな、雨の日にあった事は、なかなか頭から消えねぇんだ」
珍しい
王子は思った。
彼は「暇だから」と、こうしてちょくちょく王子の部屋に来ては、適当に寛いだり、目安箱の確認作業にちょっかいを出し
そして悪戯に飽きると、何時の間にか居なくなっているのだけれど。
その間、特に二人の間に会話がある訳ではなく。
しかし今日の彼は、何か…こうして喋っている事もだけども、普段と違う様に見えた。
「…オレ、頭やってた事があんだ。山賊やる前な」
山賊時代よりも、前。
あまり考えた事が無かった。
ボクの知らない彼。
ロイはぽつぽつと、遠くを見る様な目で語り始めた。
2006/9/30
これからロイがつらつら語る予定だったのですが…