4:叫ぶ



こいつはどんな時にも声を出さない
いや、出せないのが生まれつきなのは解ってる

でも、こういった行為の最中というのは、相手の普段ならぬ声を聞きたくなる
そう思ってしまうのは、俺だけじゃ無い筈だ

「はぁ、は…」

自分の息遣いなんて、聞きたくない
端から聞いたら一人でやってんじゃないかと思われる
そんな理由じゃなくて、ただ
聞きたいのは王子さん
あんたの声なんだ




ロイ、と

唇が切なげに戦慄いて俺の名前を形作る

ああでも、静かだから
場所を気にしないでも出来るかな、なんて思ったりもして

そうしたら王子さんは
俺の首に両腕を巻きつけてきて、繋がったままで俺の体をぐいと引き寄せた
腰を持ち上げる形になって、引き寄せられた分、深く迎え入れられる

「く…っ」

組み敷いてるのは俺の方なのに、逆に抱かれてるみたいだ
このままじゃ王子さんのペースになっちまう

達しそうになるのを歯を食いしばって耐え、深く息を吸う そして
お返しとばかりに、勢いをつけて抉ってやった


“!!”


さすがにこの体勢で最奥を穿たれてはひとたまりもないだろう
恐らく限界に近かった王子さんの体がびくんと震え、白い喉がぐぐ、と惜しげもなく反らされる
もし王子さんに声があったなら
その声はきっと、誰よりも透き通っているんだろうと思う

いつも平常心を崩さないこいつからその動揺が読み取れるのは
仰け反った喉を通り過ぎて唇からもれる、行き詰まったような、熱を孕んだそんな息遣いからだけ。


どうかそれを知っているのが自分だけでありますようにと、俺は祈るような気持ちで王子さんを抱き締めた





2006/9/27

言葉にならない叫び、ということで

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