5:唇の端が切れた
「ヴェイグ」
「…?」
「切れてる。唇…、栄養不足じゃねぇのか?」
見せてみろよ、と顎に指先を掛けられて
目の前でまじまじと唇を観察されて、照れない奴なんているだろうか
そっけなく振り払い
余計なお世話だ、とそっぽを向く
ティトレイの作る料理が美味しくて
慌てて食べた際に、フォークで唇の端を弾みで突いてしまった傷だ、なんて
そんな傷を好きな奴に見られて、恥ずかしくない奴なんているだろうか
んじゃ自分で手当てしろよなー、と相変わらずの笑顔で薬ビンを手渡される
「…ありがとう」
仲間に呼ばれ振り向いた彼に悟られぬ様に、そっと呟いた
今の俺には、これが精一杯。
2005/7/31