明けの戯れ


起きるにはまだ少し早い明け方
白んだ空から気持ちの良い日差しが降りている

(変な時間に目ぇさめちまったな……)

もそりと俯せに寝ていた態勢のまま、ゼロスは枕から頭を起こして顔にかかる長い髪をかきあげる。

二度寝をするには時間が無く、起きてしまうには勿体ない。
この半端な時間をどうするか、と思いつつ肘をついて半身だけを起こすと、背を流れていた赤く長い髪がさらりと肩から胸へと落ちてくる。

「…ぅー……」

小さく声をもらして、隣で眠る人物が寝返りをうつ。
何気なく見やると、幸せそうな顔で規則正しい寝息を立てているロイドがいて……

ふわ、と

なんとも言い難いやわらかい気持ちになる。

(しあわせ、って奴かね? これが)

頬杖をついている事で、その筋肉が無意識に緩んでしまっていた事に気が付く。
らしくないな、と思いつつも、無意識に微笑んでしまう自分が嫌ではなくて

寝起きの緩やかな時
差し込む陽の光に照らされながら
すやすやと寝息を立てて眠る少年を
ゼロスはまじまじと観察していた。

(人をこんな風に思える様に変えた張本人が、これだもんなぁー)

 むに、っとロイドの頬を突いた。
ほんの少し眉をしかめただけしか反応を返さないロイドを面白がって、むにむにと続けて突いてみる。

 唸なって避けようとする仕草を見せるが、まだ眠気が勝っているのかゆるく首を振るだけだ。

(ガキ……)

子供の様な仕草に小さく吹き出して、今度は突く代わりに頬を撫でてから髪に指を絡ませる。

撫でられるのが気持ち良いのか、ロイドの顔にはうっすらと微笑みが浮かんだ。

(寝ながら笑うなんて、器用な奴)

そんな顔をされたら、髪を梳く手を止められないじゃないか、と
ゼロスも微笑んでそのまま何回かロイドの髪を梳いていると

「?!」

いきなりグイっとその手を引っ張られて、引き倒される。

「っん……!」

引き倒された時に近づいた唇を、ロイドのそれで塞がれて小さく声が漏れる

「ロイド……っんぅ…!」
一端離された唇に、驚きと文句を乗せようとしたらまた塞がれて

 舌を絡めると言うより舐めあげられる感じの、深いような軽いようなキスをされ
る。

「……はっぁ……」

唇を離されて、乱れた息を整えるように息を付くと
「おはようゼロス」

目の前に満面の笑顔

なにか文句を言ってやりたいのに、はくはくと口が動くだけで声にならない。
赤くなるばかりの顔は、隠そうにも遅すぎて

「真っ赤だぞ?」

くすっと笑って頬を撫でてくるロイドのせいで、余計心拍数があがって、ドキドキを逃がす為の盛大なため息を吐いて、そのままロイドの上に崩れ落ちた。

 この天然に何言っても無駄だ……
 そう諦めてロイドの肩に顔を埋めるようにして抱きつき、上目使いに視線だけを向けて

「おはよ。ハニー」

微笑んで言ってやったら逆にロイドの顔が真っ赤になった。




「ねぇ、僕もう見てるだけでお腹いっぱいなんだけど?」
「ジーニアス、静かにおしよ。気付かれちまうよ」
「そうよジーニアス。貴重な観察対象なのだから事は慎重に行かなければね」
「……観察してどうするのだ?」
「ネタにする、と言っていましたが?」
「らぶらぶだねぇ〜」

皆は二人を見守ってくれているようですよ……?






日頃お世話になりっぱなしの夏夜姉から、五万ヒット記念にと頂いた幸せSSです。
こういう幸せそうなのって大好物です。
凄く羨ましい。うん。
ふにふにじゃれ合ってる二人をこっそり見守る一行に加わりつつ(笑)

夏夜姉、美味しく頂かせていただきました!
有難う御座いましたー!!

2005/8/18
BACK