嘆キッス



救いの塔での俺さまの華麗な活躍によって、晴れてアイオニトスをGET。

戻って来た時にどんな仕打ち(特にリフィルさまとがきんちょから)を受けるかと思ってたんだけど、なんだかんだ言って皆笑顔で迎えてくれて。

一番反応の気になるロイドくんも、何も言わずに変わらない様子でいてくれる。

それで今、
俺さま帰還祝賀会(ただの飲み会かもだが)みたいなのを、ロイドくんの親父さんのとこで開いてくれちゃってる訳で。


うん
楽しいし、素晴らしい。

んじゃま、めでたしめでたし…



…とは行かないんだな、これが









そ。
戻って来たんだから、キモチ…打ち明けないと。
相手を想って悶々なんてこのゼロスさまのガラじゃないし、こう…なによりもう我慢する必要ないんだから!!


…、でもねぇ…



「なぁ…ゼロスはもう飲まないのかよ〜?もっといけんらろ〜」
「はいはい…もう〜ハニーったらべろんべろんじゃないのよ」


こんな状況じゃな…今夜は無理かね…。

呂律の回らないロイドくんをなだめながら、氷で薄まってしまった酒に口を付けて彼を納得させる。

リフィルさまはしいなと一緒になってダイクさんに絡んでるし、がきんちょとコレットちゃんは眠いっつってもう部屋に戻ってる。リーガルはプレセアと何にか話し込んでる様で、こりゃもう後は勝手に解散って感じだな…

二人きりになれたら、良いんだけど

ちら、とロイドくんに視線を戻す。

「はぁ〜…」

あら、ハニーったら悩ましい溜め息ついちゃって…ってオイ!

「ハニー、いい加減飲み過ぎ」

更にグラスに注ごうとする手をやんわり抑える。流石にこれ以上飲ませちゃまずい。

「ん…もう少し…」
「だーめだっつってんだろ〜」

いつも興味本意に少し飲む事はあっても、すぐにやめてしまうのに。

こんなになっちまって。

…あのイケすかない天使さまの所為か?
親子で対決なんて。俺さまのロイドに、無理させやがって。

惨いことさせようとしやがって。
…気に入らない。

からん、と氷が音を立てた。


「…ゼロス」


ふと呼びかけられ
黒くなりかけた思考が分断される。

「…な〜に?」

「ちょっと、風に当たりたい…」

「ん、りょーかい」

肩を貸して、立ち上がる。
ドアを閉めようとしたらリフィルさまがこちらをちらと見たのが隙間から見えて

『よろしく』

と唇が動いたのを見た様な気がした。…任してよリフィルさま、今度は俺がロイドくんを支えてやらなきゃ、な。









「ほらよ、水」

「ん…さんきゅ」


庭にある木のベンチに腰掛けさせ、冷えた水を持ってきてやる。
こくこくとそれを飲み干していく彼の唇端から伝い落ちる水を指で拭ってる自分が急におかしく思えて。

惚れた相手には尽しちゃうんだな〜…つかヤロウだぞ?
俺さまが好きなのはやわらか〜くてい〜い香りのする女の子なのに。

はっ…なんて、今更か。

ロイドくんはトクベツ。
俺さまの事を、俺さま自身をちゃんと見てくれてる。

お前の為なら、命だって惜しくない。
なーんてそんな…命を粗末にするようなこと言ったら、お前怒るんだろうな…



まだぼんやりとしているロイドくんの頬をそっと指でなぞると、とろんとした栗色の瞳が向けられた。

…ロイドくん、可愛い

キス、したいかも…



…キス?



ロイドくんと、キス…


…、


……な、
なんでこの俺さまがキスの一つくらいでこんな動揺しなきゃいけないのよ?!今までだって沢山女の子としてきただろ??

落ち着いて、いつもと同じ様にだなー…


「ゼロス…」
「…ん?」




ちゅ



「…?!!」
「…目の前でそんな顔すんな、よ…」


すぅ、と息を吐いた彼はそのまま…

「ちょっ…」

人に不意打ちでキスしといて寝るかねコイツは…!!

「人の苦労もしらねーで…」


さすがに、
俺さましょんぼり…。


ぁ。でも

「…ハニー…vV」

キス、してくれた。それもロイドから。思わず頬が緩む。
くそ、誰かに言いふらして自慢したい。

だらしなーく口を開けて眠っちゃってる彼の寝顔をもう暫く見ていても良かったんだけど。
このままにして、風邪でも引いたらまずいし。

つか今のは俺さまに気がある証拠だよな…なんて思いながら、すやすや眠る彼を負ぶって部屋へと戻った。












次の朝。





「はぁ?!!覚えてない〜?!」

自信満々で昨日のことを言い出したら、この反応。

「…ごめん。…覚えてないんだ、ゼロスが一緒にいてくれたことは…なんとなく覚えてるけど」

「はは、そっかぁ…」

あぁ…あんなにコイツのこと心配して介抱して…そりゃ下心もないわけじゃなかったけど!こりゃあんまりだ。

…、一回くらい張り倒してもバチ当たらねぇよな?

なんて勝手なことを思いながら

罰が悪そうに頭を掻く彼へ、ゆらりと詰め寄ると、俺さまの異変を感じたのかロイドが後退る。

「ぜ…ゼロス?」

「…ハ〜ニ〜…覚 悟 し や が れ!!」

「ちょ、俺なんかしたかよ…って引っ付くな!!!」











絶対、ロイドの口から

「好きだ」

って言わせてやるんだからなぁ…!!

ゼロス・ワイルダーの名(プライド)に掛けて…ッ





2005/5/31
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